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今月は映画の話でも 2000年11月

今年の11月は連休が多く、大変な混みようで、なかなか休みが取れず、釣りに出かけることが出来ませんでした。

それに、今年は例年になく雨が早く、普段の年なら全く天候の心配など必要ないのですが、すでに雨季入りを感じさせるような空模様でした。そんなこんなで、今月はフィッシングレポートはお休みです。

今月は、ちょっと話題を変えて、映画の話でも。

7年前、東京にいたとき、近くのビデオ屋で借りてきた映画で、私が大泣きをしたものがあります。借りるときは別段、その内容を知っていたわけではなく、カバーのサブタイトルの言葉につい惹かれて借りたような気がします。

そのサブタイトルには「あの川は今も、永遠の夏を流れている。」とあります。

題名は「A river runs through it」。

日本語のタイトルも「リバー・ランズ・スルー・イット」とそのままのタイトルです。主演はブラッド・ピット。監督はあのロバート・レッドフォードです。この映画、フライフィッシングが物語のキーになっていて、トラウトフィッシングのシーンが、随所に出てきます。

舞台はアメリカのモンタナの田舎町。1930年頃の話です。厳格な教会の牧師を父に持つ2人の兄弟の物語です。

無鉄砲でユーモアに富み、皆から愛される弟と、知的で思慮深い兄が、少年から大人へと成長していく過程の物語を綴った映画です。最終的に弟はギャンブルのいざこざに巻き込まれて殺されてしまうのですが、それまでの過程で、幼い頃に父から教えられたフライフィッシングが、親子、兄弟を繋ぐ心のよりどころとなります。のどかな自然を背景にした、たいへんきれいな映像が印象的な映画です。

また観てみたいと思いながら、なかなかそのチャンスがなかったのですが、10月に日本に帰国した際に、そのビデオを偶然手に入れることができて、ケアンズに持ちかえり、7年ぶりに観ることができました。

やはり泣ける。7年前と同様大泣きでした。

私、実は、かなりの田舎者です。谷川では岩魚や山女が取れ、大川ではアユ、小学校の裏山には野生のサルや熊が出てくるような田舎の生まれです。夏休みといえば、兄や近所の悪ガキの後について毎日川に出かけて、岩魚や山女、アユなどを水中メガネと手製のモリで突いて遊んでいました。もちろんキャッチ&イートです。その頃は、魚の数も多く、まれに50センチオーバーの岩魚を捕まえようものものなら1週間は村の子供達の中でヒーローでいられる時代でした。

いまも私の右足の向こう脛(ずね)には、まちがって自分の足を銛で突いてしまった傷跡が残っています。

川が大きく湾曲している所には、必ず淵があって、水深が2~3メートル。底には大きなウグイが群れで泳いでました。今なら、「危ないから遊泳禁止」となるところですが、親の世代からそうやって遊んできたせいでしょうか、長い竹竿を親達が用意してくれて、溺れそうになったらこれで助けなさい、といわれていました。

ほんとうによく遊んだ。そして面白かった。毎日、毎日が面白くて、楽しくて、時間がいくらあっても遊び足りない程でした。

でも、いつも悔しいことが一つだけありました。

それは、いつでも兄にだけは、かなわなかったことです。モリで突いても、釣りをしても、必ず兄に負けてました。喧嘩をして、兄にかなわないと思い知らされたのは中学生の時でした。

これは、子供の頃の私自身の心の中を思い出させてくれる映画です。

私が遊んだ川は、日本の川の例に漏れず、現在では、改修工事で昔の面影はなくなりました。コンクリートの護岸や、川床。植林で保水能力が少なくなった為、水量が極端に減ってしまった大川。いくつかあった淵も、もうどこにも見当たりません。

この映画は、主人公の老人が、子供の頃、父や弟とフライフィッシングをして過ごしたその川で、昔のことを思いながら、フライにラインを通すシーンから物語が始まります。

子供の頃、釣りをした同じ川で、昔の思い出に思いを馳せながら釣りが出来るというのは、すばらしいことだと思いません?。